種類の違う株式を発行できる!?~種類株式を活用して会社の経営権をデザインできます!~

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株式にも種類がある

「株式」というと、株式数こそ違うけれど株主全員が同じ株式を持っているというイメージを持たれるのではないでしょうか。

中小企業では特に、持株割合の違い以外に、株主同士でそもそも権利が異なっているということはあまりないでしょう。
しかし、実は株式はその権利の内容を異なるものにして、種類の違う株式を発行することができるのです。
この権利の内容が異なる2種類以上の株式を発行する場合の各株式のことを「種類株式」といいます。

そして、種類株式は、例えば、会社の資金調達や事業承継などの場面で活用することができるのです。
このような活用は、中小企業や家族経営の会社でも当てはまります。

どんな種類の株式を発行できるのか

株式には、株主総会での議決権のように会社の経営に関与するための権利(共益権)、配当を受けるなど株主として会社から経済的利益を受けるための権利(自益権)があります。

また、中小企業や家族経営の会社によくみられる譲渡制限のように、株式の譲渡や取得に関する決め事をすることもできます。 これらの特徴がそれぞれ異なる種類の株式を発行することができるのです。

種類株式として権利の内容を設定できるのは、以下の9項目です。

①剰余金の配当
②残余財産の分配
③議決権の制限
④譲渡の制限
⑤取得請求権
⑥取得条項
⑦全部取得条項
⑧拒否権
⑨役員選任権

種類株式の活用例

種類株式を活用する具体的な場面としては、例えば次のようなものがあります。

資金調達する場面

株式会社が、資金需要があって増資したいなど、出資を募って資金調達をする場面です。
経営者としては、資金は出してもらいたいがあまり経営に口出ししてほしくはないというのが本音でしょう。
出資者としても経済的な見返りがあるなら経営をコントロールすること自体にはそれほど関心がないということも多く見受けられます。

そこで、出資者に対しては、配当金(剰余金)や残余財産の分配について優先的な権利(一覧①②)を与える代わりに、議決権を制限する株式(一覧④)を発行するのです。

このような場面では、想定外の第三者が株主とならないように譲渡制限を付けたり(一覧④)、出資者が発行会社の収益力が向上して普通株式の価値も高まったと判断したときなどに普通株式を取得できるよう、普通株式の交付を引き換えに、種類株式を取得するよう発行会社に請求する内容の種類株式(一覧⑤)とする例も多くあります。

また、一定の範囲で直接経営に関与したい出資者がいる場合には、例えば3人の取締役のうち1名は出資者が選任・解任できるようにする権限がある種類株式(一覧⑨)を発行するというようなこともできます。

●事業承継の場面

支配的な株主であり、代表取締役でもある経営者が、お子さんなど親族や幹部従業員などに事業承継する場面です。
事業承継は急に実行できるものではありませんので、段階的に次の経営者に移行していく必要があります。
株式は譲っていきたいが、合併など会社の超重要な決定事項の判断まで全て委ねてしまうのは不安があるといった場面において、一部の議決事項について拒否権を持つ種類株式(⑧)を現経営者に残しつつ、他の株式は次の経営者に渡していくということもできます。

株式に関するご相談は、弁護士まで!

株主でもある経営者の方であっても、株式、ましてや種類株式については普段お考えになる機会はあまりないかもしれません。
しかし、このように株式の種類を工夫することで、資金調達や事業承継などの場面で活用したり、経営権のデザインをすることができるのです。

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株主の権利はどのようにしたらいいのか・・・
ちゃんとした発行手続はどうすればいいのか
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こういった悩みの解決に種類株式が役に立つかもしれませんので、まずは弁護士にご相談ください。
また、株式会社の資金調達に関する記事も掲載しておりますので、ぜひチェックしてみてください!

ご相談はこちらから。

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