法律事務所らしく今後は法律についてもアップしていきたいと思います。
本日は、裁判所に申立を行うときに初めに問題となる管轄についてお話ししたいと思います。
裁判所は全国に存在し、加えて簡易裁判所、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所と種類がありますが、申立をどの裁判所が取り扱うのか、というのが「管轄」の問題です。
今回はよく問題となる土地管轄についてお話ししたいと思います。
どこの裁判所に申し立てすればいいの?
申立は、被告の普通裁判籍の所在地、つまり被告の住所地や法人であれば本店所在地を管轄する裁判所の管轄に属するとされています。
これに加えて、特定の事件の種類について法が認めた裁判籍を特別裁判籍といいます。
例えば、財産上の訴えは義務履行地、不法行為に関する訴えは不法行為があった地、不動産に関する訴えは不動産の所在地に土地管轄が認められ、その地を管轄する裁判所に申立ができます。
義務履行地は、原則として金銭給付債権は債権者の住所地となっています。ですので、貸金を回収するときは、債権者の住所地を管轄する裁判所で訴えを提起できます。
この他に応訴管轄や合意管轄があります。
○応訴管轄
申立人が、法的に誤った管轄の裁判所に訴えを提起した場合でも、相手方がこれに異議を申し立てずに裁判に応じると、その誤った管轄の裁判所に管轄権が認められることになります。
○合意管轄
当事者の合意により、第一審裁判所に限って裁判所の管轄を定めることができるとされています。
離婚調停の場合
離婚調停の管轄裁判所は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める裁判所と定められています。合意で管轄を定めている夫婦は稀ですから、相手が勝手に遠方の実家に帰ってしまった場合などは相手の実家の住所地を管轄する裁判所に申立を行う必要があります。
コロナ禍によりWeb会議など裁判手続きにおいてもオンライン化が進んでいるところではありますが、場所によってバラつきがありますし、証人尋問時や和解成立時には当事者や代理人が出廷しなければならず、経済的にも時間的にもかなり負担になります。
離婚裁判は応訴管轄も合意管轄も認められていませんが、一般民事については、契約などで予め管轄を合意しておくことができますので、契約書には必ず第一審裁判所専属管轄の合意を入れておくことをおすすめします。
本来の管轄は岩手県の花巻支部でしたが、本庁に移送が認められるなど、当事者の便宜を考慮し、移送の申立てが通ることがありますので、管轄でお困りの際には、地方の訴訟などの経験豊富なUtops(ユートップス)法律事務所にご相談ください。