「業務委託」と「雇用契約」 ~在宅時における違いとは?~

働き方の多様化や、昨今の新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、様々な企業で在宅勤務の導入が進められました。

このような状況の中で、「どうせ在宅にて業務を行って貰うのであれば、従業員を雇用するという形ではなく、業務委託(外注する)という形で、ビジネスを始めたいというような相談を多く受けました。

今回は、そのような際に、気を付けるべきポイントを説明したいと思います。

1.業務委託契約書を準備する

雇用をする際に雇用契約書を作成することと同じく、業務委託(外注)をする際も、当然、口約束ではなく、書面にて業務委託契約書を締結することが重要となります。

一般的に盛り込むべき条項としては、①業務の内容、②業務遂行する際のルール、③報酬(計算方法や支払時期)④契約期間、⑤知的財産の取扱い、⑥秘密保持や競業避止義務に関する取決め、⑦違約時の取決め等を書面にてルール化することが必要となります。

2.在宅業務における業務委託と雇用の区別

もっとも、形式的に「業務委託契約」という形を取ったとしても、実質的に「雇用関係」にあると判断されてしまうと、労働関係法令の適用を受けることになるので注意が必要となります。

この点、在宅業務(勤務)において、「業務委託契約」と「雇用契約」の区別を判断する際には、在宅勤務者についての労働者性の判断について(昭和60年労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」より)が参考となります。(出典:厚生労働省ホームページ)

以下、一部抜粋

(1)「使用従属性」に関する判断基準

 イ 「指揮監督下の労働」に関する判断基準

(イ)仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無
当該諾否の自由があることは、指揮監督関係を否定する重要な要素となるが、一方、当該諾否の自由がないことは、契約内容等による場合もあり、指揮監督関係の存在を補強するひとつの要素に過ぎないものと考えられる。

(ロ)業務遂行上の指揮監督の有
会社が業務の具体的内容及び遂行方法を指示し、業務の進捗状況を本人からの報告等により把握、管理している場合には、業務遂行過程で「使用者」の指揮監督を受けていると考えられ、指揮監督関係を肯定する重要な要素となる。

(ハ)拘束性の有無
勤務時間が定められ、本人の自主管理及び報告により「使用者」が管理している場合には、指揮監督関係を肯定する重要な要素となる。

(ニ)代替性の有無 -指揮監督関係の判断を補強する要素-
当該業務に従事することについて代替性が認められている場合には、指揮監督関係を否定する要素となる。

ロ 報酬の労務対償性の有無

報酬が、時間給、日給、月給等時間を単位として計算される場合には、「使用従属性」を補強する重要な要素となる。

(2)「労働者性」の判断を補強する要素

イ 事業者性の有無

(イ)機械、器具の負担関係
自宅に設置する機械、器具が会社より無償貸与されている場合には、「事業者性」を薄める要素となるものと考えられる。

(ロ)報酬の額
報酬の額が、同社の同種の業務に従事する正規従業員に比して著しく高額な場合には、「労働者性」を薄める要素となるものと考えられるが、通常そのような例は少ない。

ロ 専属性の程度

(イ)他社の業務に従事することが制約され、又は事実上困難な場合には、専属性の程度が高く、「労働者性」を補強する要素のひとつとなる。

(ロ)報酬に固定給部分がある等生活保障的要素が強いと認められる場合も、上記(イ)と同様、「労働者性」を補強する要素のひとつとなる。

ハ その他

報酬について給与所得としての源泉徴収を行っているか否か、労働保険の対象としているか否か、採用、委託等の際の選考過程が正規従業員の場合と同様であるか否か等は、当事者の認識を推認する要素に過ぎないものではあるが、上記の各基準によっては、「労働者性」の有無が明確とならない場合には、判断基準のひとつとして考えなければならないであろう。

以上のように、①業務の諾否の自由、②業務指示の方法、③勤務の拘束性、④代替の有無(再委託等)、⑤報酬の取決方法、⑥業務道具の貸与の有無、⑦他業務への制約等、様々な事由を考慮したうえで「業務委託契約」と「雇用契約」が判断されることになり、業務委託契約書もそのような考慮要素を組み入れる必要があります。

その際は、各弁護士ともに官庁・企業における豊富な実務経験を有するUtops法律事務所にご相談ください。

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