裁判でせっかく勝訴判決をとっても、通常何もしなければ、判決内容を実現することはできません。
判決内容を実現できなければ勝訴判決も画餅ですよね。
また、残念ながら第一審で敗訴した場合についても、日本の裁判は三審制ですので、判決が不服だとして争うことができます。
そこで、今回は訴訟の終結である判決がされた後のことについてお話ししたいと思います。
そもそも判決はどのように受けるのか?
まず、よく依頼者の方から「判決は裁判所に聞きに行かなくて良いのですか?」と質問を受けます。
民事裁判の場合、代理人弁護士が判決期日に出廷することはまずありません。
判決期日では通常主文(請求についての判断)のみが読み上げられ、理由は読み上げられませんから、当日電話で裁判所に確認すれば足りるのです。
後日判決理由も記載されている判決書は郵送でまたは裁判所に取りに行き、受領します。
敗訴した場合の対応について
御自身の主張が通らなかった第一審判決を受領した場合、注意していただきたいのは、控訴期間です。
控訴期間が経過すると判決は確定し、判決内容について全く争えなくなります。
この控訴期間は第一審判決正本が送達された日の翌日から起算して2週間です。最終日が土日祝日又は年末年始(12月29日~1月3日)であるときは、その翌日(その翌日が土日等であれば更にその翌日)が最終日です。
第一審の判決を争う場合には、控訴期間中に控訴状を判決をした裁判所(控訴裁判所ではないことに注意)に提出しなければなりません。判決に不服がある場合、控訴期間が経過しますと取り返しのつかないことになりますので、弁護士でも毎回心配で、何度もカレンダーを見て確認するところです。
控訴状について、2週間の短い間に書面は準備できないのでは?と心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、控訴状は判決に不服であり、控訴する旨の一言を記載する簡単なものですので、ご安心ください。
これに続いて控訴の理由について記載する控訴理由書は、控訴提起日から50日以内に控訴裁判所に提出する必要があります。
控訴状提出日が起算点になりますので、準備の時間を長くするために、控訴することは既に決心していても控訴期間経過直前に控訴状を提出することもあります。とはいえ、期間制限がありますので、判決が出る前に控訴についてどうするか検討しておくと良いと思います。
勝訴した場合の対応について
次に、勝訴判決が出た場合ですが、相手が任意で判決内容を履行してくれれば、それが一番スムーズで費用もかかりません。判決が確定した後、または後述します仮執行宣言が判決についている場合は判決が出た後、相手方に連絡をとり、任意に判決内容を履行するよう促すことが考えられます。
<強制執行について>
相手方が任意に判決内容を履行しない場合は、強制執行を行うことが考えられます。これは、別途裁判所に申し立てる必要があります。
前述した仮執行宣言ですが、これが判決についていますと、控訴期間中も、相手方が控訴しても強制執行を行うことができます。
具体的には金銭の給付請求の場合は、相手の預金、給料などの財産を差し押さえることになりますし、建物の明渡請求の場合は、最終的には断行といって執行官らに強制的に占有者を排除してもらい、荷物を運び出してもらい、鍵を交換してもらいます。
相手方の財産が見込めない場合など、いくら高額な金銭の給付判決を得ても、回収することができない場合もあります。
そうしますと、裁判が費用倒れに終わってしまいますので、裁判を提起する際には執行などの判決の実現可能性も検討し、場合によっては保全手続をとるなど準備が必要です。
また、裁判手続と執行手続は別の手続になりますので、委任契約の内容にもよりますが、判決をもって代理人弁護士との裁判手続の委任契約は終了となります。
執行手続も委任する場合には、別途委任契約を締結する必要があり、費用がかかるのが通常でしょう。
このように、勝訴判決を得たとしても、実現できなければ意味がありませんので、実現できるように裁判提起前に保全手続をとったり、財産調査をしたり、裁判提起の前に検討すべきことは多々あります。
また、執行手続は煩雑であり、専門的知識が必要です。
まずは、保全手続などの事前準備、執行についても経験豊富な当事務所にご相談ください。
お問い合わせはこちらから。