不動産の相続の対策について考えていますか?~遺言・後見制度より自由度の高い民事信託のすすめ~

人生100年時代と言われる昨今ですが、相続対策や、自分が元気なうちに判断能力が乏しくなった場合の対策をしておきたいという方が多くいらっしゃいます。

特に、不動産などの資産をお持ちの方は後々相続人や後継者の方が困らないように、準備を万全にしておくことをオススメします。

対策として遺言制度や後見人制度についてはよく耳にすると思いますが、今回は遺言や後見人制度よりも自由度が高く、特に不動産をお持ちの方には適した制度である民事信託制度をご紹介します。

目次

民事信託とは

民事信託とは、財産をお持ちの方(=委託者)が信頼できるご家族等(=受託者)にご自身の財産の管理や処分をする権限を託す、財産管理の仕組みです。

財産の所有権はそのままに、管理や運用は受託者が単独で行うことができます。

例えば、委託者がアパートメントを所有している場合に、受託者は新しい賃借人と契約をしたり、修繕したり受託者の意思で行うことができます。

そろそろアパートメント経営が年齢的に億劫になってきたが、生前賃料は生活費として得たいと思っている等、所有権は維持しつつも、財産の管理は任せたい場合には民事信託が1つの有用な選択肢です。

民事信託と遺言の違い

遺言は亡くなった後の財産の帰趨について定めておくものですが、民事信託は亡くなる前に財産の管理運用を第三者(受託者)に委ねることができ、かつ死亡した場合のことも定めておくことができます。

また、後継ぎ遺贈型受益者連続信託といって、3番目の受益者まで決めておくことができます。つまり、1番目は御自身、御自身が死亡した場合は2番目の配偶者、配偶者が死亡した場合は3番目のお孫さんに受益権が移るなど予め決めておくことができます。

特にお子さまがいらっしゃらないご夫婦で、ご自分の亡くなった後、代々の不動産について配偶者には住んでいてもらいたいが、ゆくゆくは配偶者の兄弟姉妹や甥姪ではなく、自身の兄弟姉妹や甥姪に受け継いで欲しいと思っている場合でも、遺言では配偶者に不動産を遺すことはできても、段階的に相続人を定めることはできないため、その配偶者が亡くなった場合には、法定相続では配偶者の兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥姪)に財産が相続されてしまいます。

しかし、民事信託であれば、段階的に財産の承継者を定めておくことができます。

民事信託と後見人制度の違い

後見人は裁判所によって選任され、不動産などの資産をお持ちの方は親族をはじめご本人が信頼する方が後見人となることは難しいですが、民事信託では親族をはじめご本人が信頼する方を受託者とすることができます。

また、後見人制度は本人の財産を減らさないように管理するのが目的ですが、信託であれば受益者のためにするのであれば積極的に運用していくことも可能です。

よくある不動産トラブル

最後に、相続財産に不動産がある場合、不動産は相続人全員で共有となりますので不動産の処分について相続人間で揉めることが多くあります。

例えば、長男は不動産を残したいと思っており、次男は立て替えて第三者に賃貸したいと思っており、長女は売却したいと思っているなど共有者間で意向が異なる場合です。共有者全員の賛成がなければ運用や売却はできません。生前にご本人が信頼する受託者を決めておくことで、受託者単独で不動産の運用や売却ができ、相続人間の紛争を防ぐことができます。

不動産をお持ちの方は、ぜひ信託を活用した、財産管理や相続対策をご検討ください。

弊所は相続を見据えた信託スキームの構築、契約書の作成、その後もホームロイヤーとしてご家族に寄り添って財産管理、相続について総合的にアドバイスさせて頂きますので是非ご相談ください。

お問い合わせはこちらから。

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