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モラハラ離婚をお考えの方へ 【 相手への伝え方 】 はどうすれば良い?伝える前にすべき事前準備とは

Utops法律事務所

パートナーとの離婚を考えた際に、悩むことの一つとして、【相手への伝え方】があります。

これまで生活を共にしてきた相手に、また子供がいるような場合には、どのように離婚を切り出せば良いのかということに悩む方も多くいられるでしょう。
特に、パートナーからモラハラ行為を受けているような場合は、離婚を切り出したことで更にモラハラ行為がエスカレートするのではないか、自分の話をまじめに聞いてくれないのではないかと思い、離婚の話ができないまま苦しい生活を続けてしまうことも耳にします。

そこで今回は、モラハラ行為をするパートナーへの離婚の伝え方について、徹底的に解説します。

離婚を切り出す前の事前準備

モラハラ配偶者に対して離婚の話を切り出した場合、どのような反発をされるか分かりませんし、モラハラ行為がエスカレートする可能性もあります。

また、一度、離婚の話をすると、後述するように「モラハラ行為の証拠確保」について妨害がなされることも予想されます。
したがって、まずは離婚を切り出す前に、モラハラ配偶者の反応を予測したり、事前に証拠を確保しておくなど様々な準備が必要となります。
(ただし、長年のモラハラにより心身が持たないなど急を要する場合は、一刻も早く別居等、モラハラ配偶者から離れる方が良い場合もあります。)

証拠確保の必要性

モラハラ配偶者への離婚を切り出す前に、今後の離婚協議、離婚調停、離婚裁判を見据えた証拠の確保が重要となります。

モラハラ行為と離婚事由

民法では、第770条1項1号~5号において、それぞれ「離婚事由」を列挙していますが、 「モラハラ」という言葉を直接的に用いた離婚事由はありません。

参考:離婚原因(民法770条1項1号〜5号)

1号 配偶者に不貞な行為があったとき。
2号 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3号 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4号 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

モラハラ行為が、上記離婚事由に該当するとすれば、第5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」となります。

もっとも、モラハラ行為が「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」と認定できるかというと、簡単でない場合が多いといえます。

多少の暴言や、威圧行為などがあったとしても、「婚姻を継続し難い重大な事由」(婚姻関係が破綻している)とは認められず、単なる夫婦喧嘩と捉えられてしまうおそれもあります。

調停委員や裁判所としても、暴言が日常的に繰り返されていたり、威圧行為の程度がひどいことが、客観的な証拠をもって明白に証明されているような場合でないと、「婚姻を継続し難い重大な事由」と認めることはできません。

モラハラ行為の客観的証拠の準備

そこで、モラハラ行為についての、「客観的証拠」の準備が必須となります。

例えば、

  • 暴言を録音したもの
  • 暴言が書いてあるメールやLINE
  • 物を投げたり、壁を叩いたりしている姿を録画したもの
  • モラハラ行為を止めるように依頼したメールやLINE
  • モラハラ行為を友人に相談した際のメール

などがあげられます。

また、「日常的に」「繰り返し」というのがモラハラ行為を認定してもらうためのポイントにもなりますので、多くのモラハラ行為を客観的な証拠として残しておくことが重要となります。

共同生活をしている以上、配偶者と口喧嘩などをすることは、どのような家庭でもあり得ることではありますが、モラハラ行為と言えるためには、一般的な常識では考えられないような頻度、方法で、配偶者に接していることを積極的に主張していく必要があります。

別居の準備をしておく

モラハラ配偶者に離婚の話を切り出した後も、同居を継続しつつ、離婚協議について進めていく方法もあり得ます。
しかし、離婚の話を切り出されたモラハラ配偶者は、これまで以上にモラハラ行為を行ってきたり、DVに発展する場合もあり得るなど、精神的・身体的な負担が増加することもよくあります。
また、モラハラ配偶者との離婚は、長引く場合が多いですので、同居をし続けるという選択肢は現実的ではないかもしれません。

したがって、離婚の話を切り出す前から、別居の準備をしておくことが重要となります。
また、別居をしてからは、モラハラ行為の証拠を確保することは一般的に難しくなりますので、離婚の話を切り出す前に「証拠確保」をすることが必要となってくるのです。

離婚と持ち家の関係については、以下の記事もチェックしてください。
【別居時に持っていた財産は今後どうなるのか?財産分与について】
ローンなし持ち家は 【 離婚後に妻が住む 】 ことは出来るのか?トラブルを回避するために注意する事

誰が伝えるべきか

離婚の話を「誰が」伝えるべきかという点についても解説します。
方法としては、①本人が伝える、②弁護士などの第三者から伝えるという選択肢があります。

本人が伝えることが原則

モラハラ配偶者に対して離婚の話を切り出すことは、非常に勇気がいる行為です。
離婚の話を切り出したら、何をされるか分からない...。
結局言い負かされてしまうのではないか...。などが頭によぎると思います。

そうだとすれば、弁護士から伝えてもらった方が、精神的にも、身体的も安全なのではという考えも当然あります。

他方で、弁護士から伝える際のデメリットも同時に検討する必要があります。

モラハラ配偶者に対して、弁護士から離婚の話を伝えた場合、モラハラ配偶者は、「妻は離婚したいなど思っていないはず」「弁護士が離婚をするようそそのかしている」など、離婚という事実に向き合わない発言をすることも多くあり、離婚までに余計な時間がかかることもあります。
そのような事態を避けるためにも、本人の口から「離婚をしたい」という発言をすることで、モラハラ配偶者にしっかりと離婚の意思が伝わり、納得感が得やすいという側面があります。

本人が伝えるうえで注意すべき点

「距離を置きたい」や「冷静になって考えてみたい」などの曖昧な発言のみですと、モラハラ配偶者は自分の都合のいいように解釈することもよくありますので、しっかりと「離婚をしたい」という言葉を用いることがポイントとなります。

このように、本人から離婚の話を切り出すことには、一定のメリットがあります。
また、本人だけで離婚の話を伝えるのが難しいのであれば、双方の両親を交えて、離婚の話を切り出し、離婚への強い意志を見せる方法も良いと思われます。

弁護士から通知

本人から離婚の話を切り出すことが、精神的・身体的に難しいということであれば、弁護士からモラハラ配偶者に対して通知書等を送り、離婚の話をスタートさせることも可能です。
ただし、上記のとおり、モラハラ配偶者が、本人に離婚の意思を直接確認していないとして、無駄に時間が長引いてしまうデメリットがあることには注意が必要です。

離婚を切り出した後の流れ

実際に、離婚の話を切り出した後は、以下のような順序で、進んでいくことになります。

協議離婚

夫婦双方又は代理人をつけた上で、協議(話し合い)で、離婚の条件等について決めていく方法です。

調停離婚

協議離婚にて解決ができないようであれば、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。
調停では、調停委員に対して、モラハラ行為の事実を、客観的な証拠を用いて的確に説明する必要がありますので、上記の事前準備が重要となります。

裁判離婚

また、調停でも、離婚を認めないようであれば、離婚裁判に移行することになります。
ここでも、やはり客観的な証拠が重要視されますので、事前準備が必須となります。

弁護士への依頼について

上記のとおり、モラハラ配偶者との離婚においては、離婚を切り出す前からの事前準備が極めて重要となります。
そのためにも、可能な限り早い段階で、弁護士に相談・依頼することをお勧めいたします。

弁護士が介入した後は、基本的には弁護士が相手方との連絡を行うことになりますので、精神的な負担が軽くなることが一般的です。
いままで、モラハラ配偶者の支配下にあった状態から、ご自身で冷静になって考えてみると、より離婚への意思が強くなるという方も多くいらっしゃいます。

また、モラハラ配偶者との離婚のご相談を頂くとき、「うちの人は、論理的なので気を付けてください」、「法律に詳しいので気を付けてください」などのお言葉もいただきますが、そのような場合でも、法律上の話としては、一般的な裁判実務では認められない自己のルールを語っているにすぎないことも多いと感じます。
それ故に、モラハラ配偶者との離婚については、時間がかかることも多いのですが、ひとつずつ解決に向けて、丁寧な説明をしていくことが重要となってきます。

まとめ

最後に今回の内容を振り返ります。

離婚を伝える前に行うべきこと

  • 客観的な証拠の確保が重要
    →録音、メール、LINE等
  • 別居の準備も重要

誰が離婚を伝えるか

【本人が伝えることのメリット】

  • モラハラ配偶者の納得感 ※明確に「離婚したい」と伝える
  • 家族を同席させることも有用

【弁護士から伝えることのメリット】

  • 精神的負担の軽減、身体の安全確保
  • ただし、モラハラ配偶者が納得をしないケースも

離婚を切り出した後の順序

  • 協議離婚
  • 調停離婚
  • 裁判離婚

以上、どのような方法で、モラハラ行為をするパートナーへ離婚の話を切り出すかという点に注目し、説明をしてきました。
離婚を切り出す前には、様々な準備が必要なため、離婚問題に強い弁護士に依頼することをおすすめします。

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